世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産である「遠賀川水源地ポンプ室」は、日本が幕末から明治時代にかけて、わずか50年余りの短期間で急速な近代化を成し遂げたことを示す遺産群の一つです。
中間市にある遠賀川水源地ポンプ室は、官営八幡製鐵所の鋼材生産量の倍増を目指す第一期拡張計画に伴い、製鉄のための工業用水を遠賀川の水を製鐵所へ送るため、1910(明治43)年に操業を開始しました。赤レンガ造の建屋には、デザインのアクセントとして灰白色の鉱滓(こうさい)レンガが使用され、内部にはアーチ状の柱や円形の窓が配置されています。
当初はイギリス製の蒸気ポンプが導入され、その後設備は電動化されましたが、100年以上経った現在でも変わらず八幡製鉄所へ鉄づくりのための水を送り続けています。
遠賀川水源地ポンプ室は稼働施設のため敷地内には入れませんが、眺望スペースから外観を見学することができます。
産業国家へと変わりゆく日本を支え続けたポンプ室の姿を眺めながら、聞こえてくるポンプの音に耳を澄ませてみませんか。
※一般には非公開の施設です。(写真提供:中間市)